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#683: Happy Birthday

アメリカにASCAPという著作権管理団体がある。「米国作詞作曲出版者協会」(American Society Of Composers, Authors & Publishers)で、映画、ラジオ、CD、ステージ、カラオケ、楽譜などの著作権の管理をしている。
ほかに大手の著作権管理団体として、BMI(Broadcast Music Inc.=「放送音楽協会」)というのもある。元々あったASCAPが、第二次世界大戦の前、ラジオの放送局に対し値上げを求め、登録楽曲の使用を禁止したところ、放送局側が対抗措置として自ら著作権管理団体を設立したのがBMIである。
ASCAPのメンバーが古くから活躍する作詞・作曲の大作家、アーティストたちを中心としていたのに対し、BMIはASCAPがほぼ無視していたブルースやジャズなどの黒人音楽、カントリーやフォーク、ラテン音楽、ロックンロールといったジャンルに目をつけ、そういったソングライターたちを抱え込み、今や二大著作権管理団体となっている。
アメリカでは、楽曲はこのどちらかの団体に登録しなければ、印税等を受け取る権利が生じない仕組みになっているようだ。

そのASCAPが、20世紀で最も使用頻度の多かった25曲を発表している。当然のことだが、BMIに登録されている楽曲は入っていない。
ざっと紹介しておくと、こんなリストになっている。

 1. Happy Birthday To You
 2. Tea For Two~二人でお茶を
 3. Moon River
 4. Over The Rainbow~虹の彼方に
 5. White Christmas
 6. Hello, Dolly!
 7. As Time Goes By
 8. Blue Moon
 9. Rhapsody In Blue
10. Night And Day~夜も昼も
11. Santa Claus Is Coming To Town~サンタが街にやってくる
12. Misty
13. Raindrops Keep Fallin' On My Head~雨にぬれても
14. Mack The Knife
15. Unchained Melody
16. The Christmas Song (Chestnuts Roasting On An Open Fire)
17. Sweet Georgia Brown
18. Winter Wonderland
19. I Left My Heart In San Francisco~わが心のサンフランシスコ
20. I Only Have Eyes For You~瞳は君ゆえに
21. I Got Rhythm
22. The Way We Were~追憶のテーマ
23. Stardust
24. I Could Have Danced All Night~踊り明かそう
25. That Old Black Magic

ビックリしたのが、クリスマスの定番曲やスタンダード・ナンバーに混じって、“Happy Birthday To You”が第1位になっていることである。正直言って、この曲に著作権があったとは全く知らなかった。調べてみたら、日本国内では2007年(平成19年)5月22日まで著作権があったのだそうだ。
著作権の問題は複雑で、例のTPP交渉でも問題になっているようだが、現在の基本ルールは最低限著作権者の死後50年間は保護を受けるが、第二次世界大戦の敗戦国である日本は戦時加算による日数が加算されているのだそうだ。

実は、今日4月5日は、蚤助の誕生日である。

で、誕生日に欠かせない歌のこの記事というわけだが、“Happy Birthday To You”は1890年代にアメリカ人のヒル姉妹(ミルドレッドと妹パティ)が、幼稚園の先生をしていたときに、子供の挨拶に“Good Morning To All”と歌っていたものだという。

GOOD MORNING TO ALL (1893)
(Words & Music by Mildred J. Hill & Patty S. Hill)

Good morning to you
Good morning to you
Good morning, dear children
Good morning to all
この歌の替え歌として誕生日の歌詞をつけ著作権登録されたのが1935年のことだった。

HAPPY BIRTHDAY TO YOU (1935)
(Words & Music by Mildred J. Hill & Patty S. Hill)

Happy birthday to you
Happy birthday to you
Happy birthday, dear ... [お祝いする人の名前]
Happy birthday to you
かのいろんな世界一を記録した「ギネス・ワールド・レコーズ」(ギネスブック)には「世界で一番歌われている歌」として載っているそうで、著作権が切れるまで、毎年確実に数億円の印税を稼いだ曲になるらしい(笑)。何しろテレビのドラマなどで、この歌を歌っただけで使用料を払わなわければならなかったわけだ。

この曲、1962年にマリリン・モンローがケネディ大統領の誕生祝いで歌った“Happy Birthday Mr. President”が最も有名であろうか。MCは、当時ケネディの妹と結婚していた俳優のピーター・ローフォードである。


2度繰り返して歌うと約30秒と手洗いをするのにちょうどよい長さになるので、学校などでこれを2度歌って手洗いをするという運動が行われている。

さて、蚤助の今回の“ハッピー・バースデイ”は、というと…

安ワイン飲んでハッピーバースデイ  蚤助

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