カントリー・ミュージックというのは、アメリカの演歌みたいなものだ。演歌が好きな日本人が多いようにカントリーを愛するアメリカ人も多い。もちろん演歌を毛嫌いする日本人がいるようにカントリーを好まぬアメリカ人もいる。蚤助は、カントリーが好きなアメリカ人は保守的(共和党支持者?)で、銃規制には反対の立場をとる白人というイメージを持っているのだが、実際のところはどうだろうか。
1970年の11月から翌年の4月にかけて、爽やかで溌剌としたポップ・カントリー・ソングがヒットした。リン・アンダーソンの「ローズ・ガーデン」(Rose Garden)である。演歌歌手のコブシもそうだが、カントリー歌手にも特有の唱法がある。彼女のヴォーカルにはあまりそのクセがなく、耳ざわりが良かったせいか、日本でもスマッシュ・ヒットした。
特に、歌い出しのフレーズは、今でもよく覚えている。まことに耳に心地よい曲であった。
ROSE GARDEN (1969)
(Words & Music by Joe South)
I beg your pardon, I never promised you a rose garden
Along with the sunshine, there's gotta be a little rain sometimes
When you take, you gotta give, so live and let live, or let go
I beg your pardon, I never promised you a rose garden
I could promised you things like big diamond rings
But you don't find roses growin' on stalks of clover
So you better think it over
Well, if sweet-talkin' you could make it come true
I would give you the world right now on a silver platter
But what would it matter?
So smile for a while and let's be jolly
Love shouldn't be so melancholy
Come along and share the good times while we can...
ごめんなさい あなたにバラの花園を約束したことは一度もないわ
太陽の光だけじゃなく 時には雨だって必要なの
ギブ・アンド・テイクでなくっちゃ そうして生きて生かされるのよ
ごめんなさい 一度だってバラの花園を約束したことはないわ
大きなダイヤの指輪をあげるって約束できたけど
クローバーにバラの花を見つけられないわ
だから考えてみて
甘い言葉が実現するとしたら
すぐにこの世界を銀の大皿にのせてあなたにあげるわ
でもそれが何だっていうの?
だから少し笑って愉快になりましょう
愛はそんなに物悲しいものじゃない
できるだけ一緒に楽しく過ごしましょう…
全体として、男のプロポーズを断った女性が相手の男を諭しているような内容だ。女性言葉なのも、女性歌手が歌っていることを意識したからだが、この曲の作者は、意外にも60年代のサザン・ロック・シーンを盛り上げたアーティストの一人ジョー・サウス。名前の通り、南部色の強い男性シンガー・ソングライターだった。69年、自身のアルバムに収録した彼の歌は、独特の男臭いしゃがれ声で、一気にアメリカのディープ・サウスの雰囲気を醸しだす。
元々、男性の立場で書かれた歌であったとすると、曲のイメージは少し違ってくる。女性の立場であれば「悪いけれど、あなたにバラの花園を約束した覚えはないの。太陽の光だって少しの雨を伴っているものよ」と少し説教臭いと感じられる歌詞も、女性への慰めの言葉だと捉えることができる。理想を追いかけて結婚を夢見る女性に対して、その夢が破れた痛手を癒そう声をかける男の慰めの言葉…というところだろうか。
ともあれ、この歌をカバーしたリン・アンダーソンは、音楽一家に生まれ19歳でプロ・デビュー、ヒットしたときは23歳だった。グラミー賞をはじめカントリー・ミュージック賞など多くの幸運を彼女にもたらす記念すべき曲となった。彼女の歌唱で泥臭さが消え、爽快な後味の仕上がりとなった。その結果、当時のポップ・カントリーを代表する作品のひとつとなった。
ところで、この曲がヒット中、日本では、70年代のトップアイドルの一人、シンシアこと南沙織がデビューした。同期デビューの小柳ルミ子、天地真理とともに「新三人娘」などといわれ、「アイドル歌手」という言葉を一般的にした先駆けの一人であった。本土復帰前の沖縄出身ということで、芸能活動のために彼女はパスポートを持って本土に通っていたという。
デビュー曲は「17才」(作詞:有馬三恵子、作曲:筒美京平)だったが、これが「ローズ・ガーデン」とよく似ているのだ。
上記の YouTube では、同じ作詞作曲コンビによる「潮風のメロディ」と二曲続けてアップされている。動画のタイトルが「潮騒のメロディ」となっているが、これはご愛敬で誤りだ。天野春子(小泉今日子)の「潮騒のメモリー」(じぇ、じぇ、じぇ?)とゴチャゴチャになってしまっている!(笑)。蚤助もタイトルを混同しそうだ。
ともかく、実際に聴き比べてみていかがだろうか。よく似ているではないか。当時から売れっ子作曲家だった筒美京平氏には、ヒット・ポップスの「パクリ」…といっては語弊があるが、明らかにそれらのサウンドやコード進行等を下敷きにしたと思しき作品がいくつかあった。「17才」もそのひとつで、元ネタ曲はきっとこの「ローズ・ガーデン」ではないかと思うのだが、果たしてどうだったのだろう。筒美先生、教えてください!
薔薇を抱き百合に恋する浮気性 蚤助
1970年の11月から翌年の4月にかけて、爽やかで溌剌としたポップ・カントリー・ソングがヒットした。リン・アンダーソンの「ローズ・ガーデン」(Rose Garden)である。演歌歌手のコブシもそうだが、カントリー歌手にも特有の唱法がある。彼女のヴォーカルにはあまりそのクセがなく、耳ざわりが良かったせいか、日本でもスマッシュ・ヒットした。
特に、歌い出しのフレーズは、今でもよく覚えている。まことに耳に心地よい曲であった。
ROSE GARDEN (1969)
(Words & Music by Joe South)
I beg your pardon, I never promised you a rose garden
Along with the sunshine, there's gotta be a little rain sometimes
When you take, you gotta give, so live and let live, or let go
I beg your pardon, I never promised you a rose garden
I could promised you things like big diamond rings
But you don't find roses growin' on stalks of clover
So you better think it over
Well, if sweet-talkin' you could make it come true
I would give you the world right now on a silver platter
But what would it matter?
So smile for a while and let's be jolly
Love shouldn't be so melancholy
Come along and share the good times while we can...
ごめんなさい あなたにバラの花園を約束したことは一度もないわ
太陽の光だけじゃなく 時には雨だって必要なの
ギブ・アンド・テイクでなくっちゃ そうして生きて生かされるのよ
ごめんなさい 一度だってバラの花園を約束したことはないわ
大きなダイヤの指輪をあげるって約束できたけど
クローバーにバラの花を見つけられないわ
だから考えてみて
甘い言葉が実現するとしたら
すぐにこの世界を銀の大皿にのせてあなたにあげるわ
でもそれが何だっていうの?
だから少し笑って愉快になりましょう
愛はそんなに物悲しいものじゃない
できるだけ一緒に楽しく過ごしましょう…
全体として、男のプロポーズを断った女性が相手の男を諭しているような内容だ。女性言葉なのも、女性歌手が歌っていることを意識したからだが、この曲の作者は、意外にも60年代のサザン・ロック・シーンを盛り上げたアーティストの一人ジョー・サウス。名前の通り、南部色の強い男性シンガー・ソングライターだった。69年、自身のアルバムに収録した彼の歌は、独特の男臭いしゃがれ声で、一気にアメリカのディープ・サウスの雰囲気を醸しだす。
元々、男性の立場で書かれた歌であったとすると、曲のイメージは少し違ってくる。女性の立場であれば「悪いけれど、あなたにバラの花園を約束した覚えはないの。太陽の光だって少しの雨を伴っているものよ」と少し説教臭いと感じられる歌詞も、女性への慰めの言葉だと捉えることができる。理想を追いかけて結婚を夢見る女性に対して、その夢が破れた痛手を癒そう声をかける男の慰めの言葉…というところだろうか。
ともあれ、この歌をカバーしたリン・アンダーソンは、音楽一家に生まれ19歳でプロ・デビュー、ヒットしたときは23歳だった。グラミー賞をはじめカントリー・ミュージック賞など多くの幸運を彼女にもたらす記念すべき曲となった。彼女の歌唱で泥臭さが消え、爽快な後味の仕上がりとなった。その結果、当時のポップ・カントリーを代表する作品のひとつとなった。
ところで、この曲がヒット中、日本では、70年代のトップアイドルの一人、シンシアこと南沙織がデビューした。同期デビューの小柳ルミ子、天地真理とともに「新三人娘」などといわれ、「アイドル歌手」という言葉を一般的にした先駆けの一人であった。本土復帰前の沖縄出身ということで、芸能活動のために彼女はパスポートを持って本土に通っていたという。
デビュー曲は「17才」(作詞:有馬三恵子、作曲:筒美京平)だったが、これが「ローズ・ガーデン」とよく似ているのだ。
上記の YouTube では、同じ作詞作曲コンビによる「潮風のメロディ」と二曲続けてアップされている。動画のタイトルが「潮騒のメロディ」となっているが、これはご愛敬で誤りだ。天野春子(小泉今日子)の「潮騒のメモリー」(じぇ、じぇ、じぇ?)とゴチャゴチャになってしまっている!(笑)。蚤助もタイトルを混同しそうだ。
ともかく、実際に聴き比べてみていかがだろうか。よく似ているではないか。当時から売れっ子作曲家だった筒美京平氏には、ヒット・ポップスの「パクリ」…といっては語弊があるが、明らかにそれらのサウンドやコード進行等を下敷きにしたと思しき作品がいくつかあった。「17才」もそのひとつで、元ネタ曲はきっとこの「ローズ・ガーデン」ではないかと思うのだが、果たしてどうだったのだろう。筒美先生、教えてください!
薔薇を抱き百合に恋する浮気性 蚤助