1920年代から30年代にかけて、作編曲家、歌手、サックス奏者、バンド・リーダーとして活躍した才人ドン・レッドマンの作った曲に“Gee Baby, Ain't I Good To You”(1929)という作品がある。
詞をつけたのはアンディ・ラザフ。
40年代になって、ナット・キング・コールがトリオを率いていた頃歌ってから、広く一般に知られるようになった。
Love makes me treat you the way that I do
Gee baby, ain't I good to you?
There's nothing in this world too good
For a girl so good and true
Gee baby, ain't I good to you?…
愛がボクをこんなに君に奉仕させる
ねえベイビー ボクは君に良くしてやってるよね
君のような女の子には 何をどうしても尽くしきれない
ねえベイビー ボクは君に良くしてるよね…
“Gee”というのは、アメリカ英語(俗語)における呼びかけの間投詞で、“ねえ”、“おい”、“おまえ”、“おや”、“へえ”、“ちぇ”とかのニュアンスで、どうやら“Jesus”の婉曲的な表現らしい。
“ain't”というのは歌詞などによく出てくる表現だが“am not”の略語である
“ボクでは不満かい? クリスマスには毛皮のコート、ダイヤの指輪、でっかいキャデラック、何でも買ってやったよね、それでもダメなのかい…”という男の心情が歌われている。
金に飽かして高価なものをプレゼントして女性の気を惹き口説くわけだが、曲が作られた当時のアメリカは大不況のさなかだっただけに、現実はともかく、せめて歌くらいは景気よくパーッと行こう、という雰囲気だったのだろう。
一度はこんな風に扱われてみたいと思うのか、どちらかといえば女性歌手に名唱が多いというのも頷ける。
スタジオやライヴなどで何度も録音しているビリー・ホリデイ、貫禄十分に歌うローズマリー・クルーニー、落ち着いたムードでピアノもファンキーなダイアナ・クラールなど、いずれも名唱で印象に残る。
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(Peggy Lee/Black Coffe)
忘れてはならないこちらは、ペギー・リーの名盤“Black Coffee”に収録されているものだが、ハスキー・ヴォイスで語りかける彼女の歌は夜のムードで魅力的である。
ただ、女性歌手の場合には、自分の願望としてリッチな夢を歌っているということもあるかもしれないが、なんだか痛々しい感じがするところもあって、蚤助としては基本的に男性ヴォーカルをお薦めしたい(笑)。
とくれば、やはりジャイヴ感にあふれたナット・キング・コールの歌が一番である。
若々しいコールのヴォーカルにオスカー・ムーアのギターが絡む(こちら)。
また、オスカー・ピーターソンの伴奏で、ルイ・アームストロングとエラ・フィッツジェラルドが共演しているものが楽しい仕上がりである(こちら)。
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(Ella Fitzgerald & Louis Armstrong/Ella & Louis Again)
インストも名演は多いが、蚤助の目下の愛聴盤は、ケニー・バレルの“Midnight Blue”(冒頭画像)におけるブルース・フィーリングにあふれたギター・プレイである(こちら)。
この歌、メジャーコードとマイナーコードがくるくる変わるせいなのか、ペーソスがあるけれどもどこか明るいムードを感じさせるところがミソである。
有り余る物に囲まれ出る不満 (蚤助)
詞をつけたのはアンディ・ラザフ。
40年代になって、ナット・キング・コールがトリオを率いていた頃歌ってから、広く一般に知られるようになった。
Love makes me treat you the way that I do
Gee baby, ain't I good to you?
There's nothing in this world too good
For a girl so good and true
Gee baby, ain't I good to you?…
愛がボクをこんなに君に奉仕させる
ねえベイビー ボクは君に良くしてやってるよね
君のような女の子には 何をどうしても尽くしきれない
ねえベイビー ボクは君に良くしてるよね…
“Gee”というのは、アメリカ英語(俗語)における呼びかけの間投詞で、“ねえ”、“おい”、“おまえ”、“おや”、“へえ”、“ちぇ”とかのニュアンスで、どうやら“Jesus”の婉曲的な表現らしい。
“ain't”というのは歌詞などによく出てくる表現だが“am not”の略語である
“ボクでは不満かい? クリスマスには毛皮のコート、ダイヤの指輪、でっかいキャデラック、何でも買ってやったよね、それでもダメなのかい…”という男の心情が歌われている。
金に飽かして高価なものをプレゼントして女性の気を惹き口説くわけだが、曲が作られた当時のアメリカは大不況のさなかだっただけに、現実はともかく、せめて歌くらいは景気よくパーッと行こう、という雰囲気だったのだろう。
一度はこんな風に扱われてみたいと思うのか、どちらかといえば女性歌手に名唱が多いというのも頷ける。
スタジオやライヴなどで何度も録音しているビリー・ホリデイ、貫禄十分に歌うローズマリー・クルーニー、落ち着いたムードでピアノもファンキーなダイアナ・クラールなど、いずれも名唱で印象に残る。

(Peggy Lee/Black Coffe)
忘れてはならないこちらは、ペギー・リーの名盤“Black Coffee”に収録されているものだが、ハスキー・ヴォイスで語りかける彼女の歌は夜のムードで魅力的である。
ただ、女性歌手の場合には、自分の願望としてリッチな夢を歌っているということもあるかもしれないが、なんだか痛々しい感じがするところもあって、蚤助としては基本的に男性ヴォーカルをお薦めしたい(笑)。
とくれば、やはりジャイヴ感にあふれたナット・キング・コールの歌が一番である。
若々しいコールのヴォーカルにオスカー・ムーアのギターが絡む(こちら)。
また、オスカー・ピーターソンの伴奏で、ルイ・アームストロングとエラ・フィッツジェラルドが共演しているものが楽しい仕上がりである(こちら)。

(Ella Fitzgerald & Louis Armstrong/Ella & Louis Again)
インストも名演は多いが、蚤助の目下の愛聴盤は、ケニー・バレルの“Midnight Blue”(冒頭画像)におけるブルース・フィーリングにあふれたギター・プレイである(こちら)。
この歌、メジャーコードとマイナーコードがくるくる変わるせいなのか、ペーソスがあるけれどもどこか明るいムードを感じさせるところがミソである。
有り余る物に囲まれ出る不満 (蚤助)