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Channel: ただの蚤助「けやぐの広場」~「けやぐ」とは友だち、仲間、親友という意味あいの津軽ことばです
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#676: 無責任って呼んで

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接頭語は、ある語の上について意味を添えたり調子を整えたりするもので、「みこころ」や「こばしり」の「み」や「こ」などがそれに当たる。「お母さん」の「お」、「ぶっ叩く」の「ぶっ」というのも接頭語である。ブッ!。

当然のことながら、接頭語は英語にもあって、たとえば「re-」は「繰り返し、再び(again)」(recycle)、「ex-」は「外へ」(export)、「con-、com-」は「ともに(together)」(concord、community)、「pre-」は「前に(before)」(prelude)のほか、「sub-」(下へ(under))、「tele-」(遠くへ(far))、「over-」(超、以上(over))、「anti-」(反、逆(against))などがある。

面白いのは「in-」という接頭語で、後に続く言葉によって、in, into, not, without などの意味を持たせる。
特に「not」の意味を表す反意語をつくる「in-」の場合、一定のルールがあるようで、たとえば「in-」が「l」の前では「il-」(legal→illegal)、「b,m,p」の前だと「im-」(balance→imbalance、moral→immoral、possible→impossible)、「r」の前だと「ir-」(regular→irregular)になるという具合だ。
この「in-」と同様、反対・否定の意味を表す接頭語に「un-」というのもある。動詞につけると「反対の動作、元に戻す」、名詞につけて「~の性質(状態)を除く」の意となる。
辞典などを調べてみると、おおむね以上のような記述があるのだが、この反意語をつくる接頭語を多用した歌がある。

“CALL ME IRRESPONSIBLE”、「無責任って呼んで」だと!
この歌、実はテーマソングなのだ。何のって?。もちろん蚤助のである。何とまあピッタリのタイトルじゃん…。

バンド・リーダー兼タレントとして活躍したジャッキー・グリーソンが主演した63年のコメディ映画「パパは王様」(Papa's Delicate Condition‐ジョージ・マーシャル監督)の主題歌として書かれたものだ。
サミー・カーンの作詞、ジェームズ・ヴァン・ヒューゼン作曲のアカデミー映画主題歌賞受賞の名曲で、ジャック・ジョーンズでヒットしたが、やはり説得力のあるシナトラの歌が有名だろう。


CALL ME IRRESPONSIBLE (1962)
(Words by Sammy Cahn / Music by Jimmy Van Heusen)

Call me irresponsible, call me unreliable
Throw in undependable too

Do my foolish alibis bore you?
Well, I'm not too clever, I just adore you

Call me unpredictable, tell me I'm impractical
Rainbows I'm inclined to pursue

Call me irresponsible, yes I'm unreliable
But it's undeniably true
I'm irresponsibly mad for you...

無責任と呼んで 信用がおけないって呼んで
頼りにならないっていうのも おまけにね

バカな言い訳にはもううんざりだろう?
そう 僕ってあんまり利口じゃないんだ
ただ君が好きなだけさ

だから 気まぐれって呼んで 役立たずって呼んで
虹を追いかけていたいんだ

無責任と呼んで そう 僕は信用がおけない
でも 否定しようもなく本当のことなんだ
無責任なほど君に夢中だってこと...
「無責任って呼んで」とは、その昔一世を風靡したクレイジー映画、植木等扮する無責任サラリーマン平均(たいらひとし)風のタイトルだが、その平均氏ですらここまでズバリ言い切ったことがあっただろうか(笑)。
でも口説きの文句としては、21世紀の現代でも通用しそうななかなか面白い歌詞である。

ダイナ・ワシントン、ナンシー・ウィルソン、アンディ・ウィリアムス、ボビー・ダーリンなど、男女を問わず多くのシンガーが歌っているが、最近ではコンテンポラリー・ポップスの貴公子などと呼ばれているカナダ出身マイケル・ブーブレの歌が魅力的だ。


そういえば「無責任」の「無」というのも、「異」「反」「非」「不」「未」などと同様、ネガティヴな意味を表す接頭語であった(笑)。

部外者のような顔して責任者  蚤助
責任は皆で負おうと判ばかり  蚤助

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