「積極的になれ、消極的になるな」という意味だろうか。
ACCENTUATE THE POSITIVE, ELIMINATE THE NEGATIVE
このフレーズ、ある歌の歌詞の一節なのだ。
44年の映画「Here Come The Waves」のために書かれた“Ac-cent-tchu-ate The Positive”というのがそれで、なかなか調子のよい軽快な歌である。
最初に聴いたときには、Ac-Cent-Tchu-Ate というのがよくわからず、フランス語か何かのちょっと不思議なタイトルだと思ったのだが、Ac-Cent-Tchu-Ate というのは Accentuate(アクセントをつける、強調する)という英語の動詞の発音を示したものだ。
なぜこういうタイトルになっているのかというと、歌が「アク・セン・チュ・エイト」と分割して歌われるようになっているからだろう。これに続く Eliminate というのも、「エ・リ・ミ・ネイト」と区切って歌われる。
だからというわけでもないが、素直に“Accentuate The Positive”と表記される場合もある。
作詞はジョニー・マーサー、作曲はハロルド・アーレン。
この歌が作られた経緯は、概ね次のようなものであったらしい。
マーサーが、ある神父の説教を聴きに行った。
その説教の内容が“Accentuate the positive, eliminate the negative”(前向きになれ、消極的な考えを追い払え)というもので、そのフレーズが彼の耳を捉えてしまった。
やがて映画「Here Come The Waves」のために新たに曲を書くことになった。
映画スタジオへの道筋、車に同乗していたハロルド・アーレンがノリのいいメロディを口ずさんだ。
このとき、マーサーの頭に浮かんだのが、あの神父の説教のフレーズだった。
曲と言葉のアクセントが合わなかったが、何とか曲に合わせて歌詞を工夫、スタジオに着くころには、ほとんど歌詞は出来上がっていた。
アーレンは「マーサーはよほどうれしかったんだろう。初めて彼が微笑むのをみたよ」という思い出話を残している。
映画そのものはビング・クロスビー、ベティ・ハットン主演のミュージカル・コメディだったが、残念ながら日本では公開されなかった。
劇中劇で黒人に扮したビング・クロスビーとソニー・タフツがデュエットした。このシーンは現在動画サイトで見ることができる。
レコードはそのクロスビーとアンドリュース・シスターズが共演したものがヒットした。
以前、書いたことがあるかもしれないが、作詞家のジョニー・マーサーは歌手としても活躍した才人で、なかなか味のある歌を聴かせた。
マーサーは自ら作詞したこの歌をパイド・パイパーズとともに歌っている。
AC-CENT-TCHU-ATE THE POSITIVE (1944)
(Words by Johnny Mercer/Music by Harold Arlen)
You've got to accentuate the positive
Eliminate the negative
Latch on to the affirmative
Don't mess with mister In-Between
You've got to spread joy up to the maximum
Bring gloom down to the minimum
Have faith or pandemonium
Liable to walk upon the scene
To illustrate my last remark
Jonah in the whale, and Noah in the ark
What did they do
Just when everything seemed so dark?
Man they said we gotta
Accentuate the positive
Eliminate the negative
Latch on to the affirmative
Don't mess with mister In-Between...
もっと積極的になれ
消極的な考えは追っ払え
こうと決めたらふらつくな
どっちつかずの男になるな
喜びは最大限にせよ
悲しみは最小限にもっていけ
信念を持て さもないと
伏魔殿のようなシーンをさまようことになる
最後の言葉を説明すると
クジラの中のヨナや 箱舟の中のノアが
すべてが真っ暗闇の中で
何をしたかってこと
ほら 彼らはこう言ったんだ
もっと積極的になれ
消極的な考えは追っ払え
こうと決めたらふらつくな
どっちつかずの男になるな...
この歌、ビング・クロスビー、ジョニー・マーサーのほか、ルイ・アームストロング、フォア・フレッシュメン、キング・シスターズ、メル・トーメ、トニー・ベネット、ペギー・リー、ヴィッキー・カー、ペリー・コモ、コニー・フランシス、サム・クック、アレサ・フランクリン等、多士済々がレコーディングしている。
中でも、エラ・フィッツジェラルドは、ご丁寧にもマーサーの歌にもあったこんなヴァース部分まで歌っている。
Gather 'round me, everybody, gather 'round me
While I'm preachin', feel a sermon comin' on me
The topic will be sin and that's what I'm ag'in'
If you wanna hear my story
The settle back and just sit tight
While I start reviewin' the attitude of doin' right
私の周りに集まれ みんな 集まれ
お説教をしているうちに 道を説きたい気分になってきた
話は罪について それは私が年齢とともに経験してきたこと
もし話が聞きたいなら
姿勢を正して ちゃんと座っていろ
正しい行いの心構えについて 回想している間はナ
このヴァ―スがあることで、この歌がマーサーが体験した神父の説教のような内容になっていることがはっきり分かる。
もっとも、歌詞に使われている言葉は、ずっとくだけた言い方でおよそ教会内で使われる言葉ではないと思うのだが…(笑)。
最近のものでは、コニー・エヴィンソンが録音していて楽しいが、ポール・マッカートニーがスタンダード・ナンバー集に入れたものも面白い。
ダイアナ・クラールのピアノ、ロバート・ハーストのベース、カリエム・リギンスのドラムスというクラールのツアー・メンバーにギターのジョン・ピザレリが付き合っている。
ここでのポールは「お遊び気分で軽く手慰みに歌ってみました」風の、肩の力が抜けた歌唱で、これはこれで悪くない。
信者しか救わないとは殺生な 蚤助
ACCENTUATE THE POSITIVE, ELIMINATE THE NEGATIVE
このフレーズ、ある歌の歌詞の一節なのだ。
44年の映画「Here Come The Waves」のために書かれた“Ac-cent-tchu-ate The Positive”というのがそれで、なかなか調子のよい軽快な歌である。
最初に聴いたときには、Ac-Cent-Tchu-Ate というのがよくわからず、フランス語か何かのちょっと不思議なタイトルだと思ったのだが、Ac-Cent-Tchu-Ate というのは Accentuate(アクセントをつける、強調する)という英語の動詞の発音を示したものだ。
なぜこういうタイトルになっているのかというと、歌が「アク・セン・チュ・エイト」と分割して歌われるようになっているからだろう。これに続く Eliminate というのも、「エ・リ・ミ・ネイト」と区切って歌われる。
だからというわけでもないが、素直に“Accentuate The Positive”と表記される場合もある。
作詞はジョニー・マーサー、作曲はハロルド・アーレン。
この歌が作られた経緯は、概ね次のようなものであったらしい。
マーサーが、ある神父の説教を聴きに行った。
その説教の内容が“Accentuate the positive, eliminate the negative”(前向きになれ、消極的な考えを追い払え)というもので、そのフレーズが彼の耳を捉えてしまった。
やがて映画「Here Come The Waves」のために新たに曲を書くことになった。
映画スタジオへの道筋、車に同乗していたハロルド・アーレンがノリのいいメロディを口ずさんだ。
このとき、マーサーの頭に浮かんだのが、あの神父の説教のフレーズだった。
曲と言葉のアクセントが合わなかったが、何とか曲に合わせて歌詞を工夫、スタジオに着くころには、ほとんど歌詞は出来上がっていた。
アーレンは「マーサーはよほどうれしかったんだろう。初めて彼が微笑むのをみたよ」という思い出話を残している。
映画そのものはビング・クロスビー、ベティ・ハットン主演のミュージカル・コメディだったが、残念ながら日本では公開されなかった。
劇中劇で黒人に扮したビング・クロスビーとソニー・タフツがデュエットした。このシーンは現在動画サイトで見ることができる。
レコードはそのクロスビーとアンドリュース・シスターズが共演したものがヒットした。
以前、書いたことがあるかもしれないが、作詞家のジョニー・マーサーは歌手としても活躍した才人で、なかなか味のある歌を聴かせた。
マーサーは自ら作詞したこの歌をパイド・パイパーズとともに歌っている。
AC-CENT-TCHU-ATE THE POSITIVE (1944)
(Words by Johnny Mercer/Music by Harold Arlen)
You've got to accentuate the positive
Eliminate the negative
Latch on to the affirmative
Don't mess with mister In-Between
You've got to spread joy up to the maximum
Bring gloom down to the minimum
Have faith or pandemonium
Liable to walk upon the scene
To illustrate my last remark
Jonah in the whale, and Noah in the ark
What did they do
Just when everything seemed so dark?
Man they said we gotta
Accentuate the positive
Eliminate the negative
Latch on to the affirmative
Don't mess with mister In-Between...
もっと積極的になれ
消極的な考えは追っ払え
こうと決めたらふらつくな
どっちつかずの男になるな
喜びは最大限にせよ
悲しみは最小限にもっていけ
信念を持て さもないと
伏魔殿のようなシーンをさまようことになる
最後の言葉を説明すると
クジラの中のヨナや 箱舟の中のノアが
すべてが真っ暗闇の中で
何をしたかってこと
ほら 彼らはこう言ったんだ
もっと積極的になれ
消極的な考えは追っ払え
こうと決めたらふらつくな
どっちつかずの男になるな...
この歌、ビング・クロスビー、ジョニー・マーサーのほか、ルイ・アームストロング、フォア・フレッシュメン、キング・シスターズ、メル・トーメ、トニー・ベネット、ペギー・リー、ヴィッキー・カー、ペリー・コモ、コニー・フランシス、サム・クック、アレサ・フランクリン等、多士済々がレコーディングしている。
中でも、エラ・フィッツジェラルドは、ご丁寧にもマーサーの歌にもあったこんなヴァース部分まで歌っている。
Gather 'round me, everybody, gather 'round me
While I'm preachin', feel a sermon comin' on me
The topic will be sin and that's what I'm ag'in'
If you wanna hear my story
The settle back and just sit tight
While I start reviewin' the attitude of doin' right
私の周りに集まれ みんな 集まれ
お説教をしているうちに 道を説きたい気分になってきた
話は罪について それは私が年齢とともに経験してきたこと
もし話が聞きたいなら
姿勢を正して ちゃんと座っていろ
正しい行いの心構えについて 回想している間はナ
このヴァ―スがあることで、この歌がマーサーが体験した神父の説教のような内容になっていることがはっきり分かる。
もっとも、歌詞に使われている言葉は、ずっとくだけた言い方でおよそ教会内で使われる言葉ではないと思うのだが…(笑)。
最近のものでは、コニー・エヴィンソンが録音していて楽しいが、ポール・マッカートニーがスタンダード・ナンバー集に入れたものも面白い。
ダイアナ・クラールのピアノ、ロバート・ハーストのベース、カリエム・リギンスのドラムスというクラールのツアー・メンバーにギターのジョン・ピザレリが付き合っている。
ここでのポールは「お遊び気分で軽く手慰みに歌ってみました」風の、肩の力が抜けた歌唱で、これはこれで悪くない。
信者しか救わないとは殺生な 蚤助