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Channel: ただの蚤助「けやぐの広場」~「けやぐ」とは友だち、仲間、親友という意味あいの津軽ことばです
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#506: 2月の川柳(NHK文芸選評)

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いよいよ弥生3月。
今冬は寒くて雪国は積雪も多かったが、少しずつ春の気配を感じられるところまでようやくやってきた。

今回は久しぶりの“川柳”ネタである。


昨日、NHKラジオセンターから、2月23日(土)放送の『文芸選評・川柳』の作品集が届いた。
放送当日は仕事で勤務先にいた私のところへ、“月刊けやぐ”編集長の蝉坊さんから、拙句が佳作となったとのうれしいメールを送ってくれた。
毎回2000句を超えるといわれる多数の応募作品の中から、入選20句、佳作20句が選ばれて電波にのせられるのだ。

2月の選者は大木俊秀さんで、課題は「姫」、おそらく「ひな祭り」を念頭においたものではないかと推測する。

私の場合、課題が出ると、題の意味などを調べてイメージをふくらませるところから始めることにしている。
「姫」を調べてみると、おおむねこう説明されている。

※ ※
「姫」
女性の美称で、彦(ひこ)の対。
上代では単独で用いて女性一般を表したり、「木花開耶姫(このはなさくやひめ)」のように下につけたりして用いられた。
平安時代以後、貴人の娘をさしていうようになり、江戸時代の上方(かみがた)では遊女をさしたこともある。
また、小さくてかわいらしく優しい感じであることを表す接頭語として、「ひめゆり」「ひめつばき」「ひめかがみ」などと用いられた。
語源は「日女(ひめ)」で、「ひ」は美称とされる。

※ ※
今回は、この作品集に掲載された入選句・佳作句をご紹介してみたい。
はたしてどんな「姫」が登場したのか。

♪ ♪
課題「姫」 (大木俊秀・選)
ノーはノー会津の姫の心意気 (大塚たえ子)
待望の姫に張り込む段飾り (田村也子)
平成の姫振袖にブーツ履く (森田岑代)
村芝居姫にあらわな喉ぼとけ (堀田 毅)
鼻唄で姫が動かすダンプカー (高橋恵子)
ヘルメット革ジャン脱いで姫になる (大木雅彦)
切札の姫が選挙に打って出る (野口 忠)
整形の前を知ってる姫鏡 (沢田正司)
深窓の佳人演歌は歌わない (平井義雄)
深窓の育ちにしてはよく値切る (田中和正)
我が家には子連れで仕切るもどり姫 (中井耕一)
姫様のつもりか家事も手伝わず (住野尚敏)
新郎がお姫さまだっこによろけ (大嶋千寿子)
プロポーズ躱して月へかぐや姫 (加藤富清)
一姫が清く正しく育ち過ぎ (多田幹江)
坪庭に姫ばかり居る山野草 (山本満喜代)
牛飼いに惚れて都会の姫が来る (山口由利子)
姫会と称して妻はきょうも留守 (指方宏子)
神代から日本を開く姫力 (箕原ひろし)
本物の姫を玉三郎に見る (竹中正幸)

いつまでも姫でありたい化粧ビン (中村充一)
同僚に姫と呼ばれてまだ一人 (中川 光)
小児科の椅子満員のやんちゃ姫 (宍戸智子)
あんみつが好きで漫画にされた姫 (若山 巌)
姫などと私を取りに来た夫 (妹尾安子)
居心地が良くて婚活しない姫 (越澤 孝)
姫だった祖母の箪笥に見た刀 (小長井邦次)
姫だってあくびをするし酒も飲む (増田信一)
機織った姫は年取り杖をつく (原 阿佐太)
独り居の母を見守る姫だるま (堀 敏雄)
家来ども従え姫のランドセル (舟田安良)
おママゴト姫に敷かれるお殿様 (高橋寿久)
終電に乗ってるかしらシンデレラ (石橋直子)
跡継ぎの欲しい老舗に三姉妹 (魚住幸子)
姫育ちだけど気の利くうちの嫁 (山内俊恵)
お見合いをして火がついたお姫様 (田中良之助)
姫鏡台わたしの顔が入るかな (西 幸子)
三十を過ぎても姫は慌てない (池田永紀)
親よりも大事な人が姫に出来 (愛甲敬子)
(敬称略)
さまざまな「姫」が示されているが、いかがであろうか。
今後の句作の参考になれば幸いである。

最後に佳作に抜いていただいた拙句を…

姫君がくわえ煙草をする楽屋


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