三月の「けやぐ柳会」は、裕雅さんから「風」と「投げる」という宿題が出されている。
東京は今週末にも桜が満開になりそうだということで、時季的には「春風」と言いたいところだが、寒い北風と暖かい南風がせめぎ合って、実際のところ全国的にはとんでもない気象状況もあった弥生三月である。
「風」といえば、NHK文芸選評・川柳に「風」という課題が出て、安藤波瑠先生に拙句を佳作に抜いてもらったことがある(平成19年5月放送)。
「風」は、空気の流れのことだが、流れる空気自体を指したりする。
「気流」と言ってもよいかも知れない。
風が無い状態が「凪」であるが、古来、眼に見えないものの象徴として使われたり、「選挙に新しい風が吹いた」などというように全体的な雰囲気の方向性の意味を持たせたりする。
流行やファッション、グルメなどで使う「○○風」というのもそういった使い方の一種であろう。
北風・南風など東西南北の方角に着目した風向きもあるし、空っ風・春一番・木枯らし・ヤマセ・六甲おろしなど季節や地域に着目した風もある。
さらには、海風・山風・谷風・潮風・ビル風などというものもあるし、気象用語としては、台風・竜巻・つむじ風・乱気流・砂嵐・偏西風などというのもある。
♪
当時放送された「文芸選評・川柳」の作品集を紹介してみよう。
放送が5月だったので、すぐ「薫風」が頭に浮かんだのだが、果して実際にはどんな風が吹いたのであろうか。
課題「風」 (安藤波瑠・選)
ぬり絵からハタと困った風の色 (賀村昌平)
薫風に年金泳ぐ初節句 (遠山 勇)
ケータイも田植機にのり風薫る (高橋 勝)
絵ハガキになかった風に肌でふれ (鈴木正義)
隙間風かと振り返る先に妻 (矢野利喜)
胸中に風が吹く日は鍋みがく (富田保子)
考える姿で風をやり過ごす (日下部徳子)
ライバルの風の便りに凛となる (勝盛青章)
IT化風の便りが速過ぎる (田原せいけん)
追い風が少し怖くて振り返る (松下弘美)
向かい風鈍感力を借りてみる (宮?竹葉)
窓際で起死回生の風を待つ (田中和正)
大吉を財布に入れて風を待つ (植松一繁)
ほほえみの風が横切るベビーカー (竹鼻雅子)
台本のない晩年の風まかせ (関口修一)
生きている風を楽しむ万歩計 (中村義平)
虹色の風ころころと幼稚園 (岡本 恵)
分別もなく風に乗るシャボン玉 (奥山英男)
謝っておこう風力2のうちに (安元ふみき)
首は振らせぬ湯上りの扇風機 (田中良典)
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吹き荒れる豆台風に目を細め (高原 繁)
散髪のうなじへ風も褒めにくる (徳長怜子)
反対はどこ吹く風か多数決 (藤中公人)
好奇心いつでも光る風を追う (西谷悦子)
一ランク下げろと風に教えられ (吉川孝夫)
ラップした噂を風が撒き散らす (林田厚子)
春風に誘われおにぎりをつくる (高橋寿久)
たんぽぽの綿毛気の合う風を待つ (伏見久江)
チョイワルの気分でバイク風を切る (竹中正幸)
いたずらな風はジーパンとは知らず (斉藤光雄)
マンネリを新人の風越えて行く (加藤金司)
一陣の風に乱れるバーコード (鈴木新八)
風向きに晩酌の量決められる (山根吉城)
ご機嫌な風が大凧唸らせる (関口カツ子)
風向きの見きわめうまい出世魚 (三浦武也)
パンジーは風に逆らう面構え (佐藤三夫)
ちぐはぐな恋のアンテナ風笑う (中田瑞穂)
少子化のブランコ風と二人ぼち (小棚木松静)
♪ ♪
佳作で抜いていただいた拙句はやはり「薫風」をイメージしたものだった。
自転車に乗れたときから風になる
東京は今週末にも桜が満開になりそうだということで、時季的には「春風」と言いたいところだが、寒い北風と暖かい南風がせめぎ合って、実際のところ全国的にはとんでもない気象状況もあった弥生三月である。
「風」といえば、NHK文芸選評・川柳に「風」という課題が出て、安藤波瑠先生に拙句を佳作に抜いてもらったことがある(平成19年5月放送)。
「風」は、空気の流れのことだが、流れる空気自体を指したりする。
「気流」と言ってもよいかも知れない。
風が無い状態が「凪」であるが、古来、眼に見えないものの象徴として使われたり、「選挙に新しい風が吹いた」などというように全体的な雰囲気の方向性の意味を持たせたりする。
流行やファッション、グルメなどで使う「○○風」というのもそういった使い方の一種であろう。
北風・南風など東西南北の方角に着目した風向きもあるし、空っ風・春一番・木枯らし・ヤマセ・六甲おろしなど季節や地域に着目した風もある。
さらには、海風・山風・谷風・潮風・ビル風などというものもあるし、気象用語としては、台風・竜巻・つむじ風・乱気流・砂嵐・偏西風などというのもある。
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当時放送された「文芸選評・川柳」の作品集を紹介してみよう。
放送が5月だったので、すぐ「薫風」が頭に浮かんだのだが、果して実際にはどんな風が吹いたのであろうか。
課題「風」 (安藤波瑠・選)
ぬり絵からハタと困った風の色 (賀村昌平)
薫風に年金泳ぐ初節句 (遠山 勇)
ケータイも田植機にのり風薫る (高橋 勝)
絵ハガキになかった風に肌でふれ (鈴木正義)
隙間風かと振り返る先に妻 (矢野利喜)
胸中に風が吹く日は鍋みがく (富田保子)
考える姿で風をやり過ごす (日下部徳子)
ライバルの風の便りに凛となる (勝盛青章)
IT化風の便りが速過ぎる (田原せいけん)
追い風が少し怖くて振り返る (松下弘美)
向かい風鈍感力を借りてみる (宮?竹葉)
窓際で起死回生の風を待つ (田中和正)
大吉を財布に入れて風を待つ (植松一繁)
ほほえみの風が横切るベビーカー (竹鼻雅子)
台本のない晩年の風まかせ (関口修一)
生きている風を楽しむ万歩計 (中村義平)
虹色の風ころころと幼稚園 (岡本 恵)
分別もなく風に乗るシャボン玉 (奥山英男)
謝っておこう風力2のうちに (安元ふみき)
首は振らせぬ湯上りの扇風機 (田中良典)

吹き荒れる豆台風に目を細め (高原 繁)
散髪のうなじへ風も褒めにくる (徳長怜子)
反対はどこ吹く風か多数決 (藤中公人)
好奇心いつでも光る風を追う (西谷悦子)
一ランク下げろと風に教えられ (吉川孝夫)
ラップした噂を風が撒き散らす (林田厚子)
春風に誘われおにぎりをつくる (高橋寿久)
たんぽぽの綿毛気の合う風を待つ (伏見久江)
チョイワルの気分でバイク風を切る (竹中正幸)
いたずらな風はジーパンとは知らず (斉藤光雄)
マンネリを新人の風越えて行く (加藤金司)
一陣の風に乱れるバーコード (鈴木新八)
風向きに晩酌の量決められる (山根吉城)
ご機嫌な風が大凧唸らせる (関口カツ子)
風向きの見きわめうまい出世魚 (三浦武也)
パンジーは風に逆らう面構え (佐藤三夫)
ちぐはぐな恋のアンテナ風笑う (中田瑞穂)
少子化のブランコ風と二人ぼち (小棚木松静)
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佳作で抜いていただいた拙句はやはり「薫風」をイメージしたものだった。
自転車に乗れたときから風になる