#654: 還暦を過ぎたら聴きたい曲
フランスの作・編曲家、ジャズ・ピアニストの才人ミシェル・ルグランは、“I Will Wait For You”(シェルブールの雨傘)、“Watch What Happens”、“The Summer Knows”(おもいでの夏)、“The Windmills Of Your Mind”(風のささやき)などといったすぐれた歌曲を世に出している。...
View Article#655: 月光のいたずら
秋も深まって、木枯らしの季節が近づいてきた今日このごろ、どんな音楽を聴こうかと考え込んでしまうのだが、秋はやっぱりヴォーカルだろうと、自分で勝手な突っ込みを入れている。ここはひとつ不世出のジャズ・シンガー、ビリー・ホリデイの歌う“What A Little Moonlight Can Do”(邦題「月光のいたずら」)なんていうのはいかがだろう。 この曲が発表されたのは1934年のこと。...
View Article#656: 何て愚かな私
イギリス製の芝居には馴染みが薄いので、『地球を止めてくれ!私は降りたい』(Stop The World‐I Want To Get Off)というちょっと変わったタイトルのミュージカルはよく知らない。ただ、この作品から素晴らしい名歌が生まれたことはよく知っている。 “What Kind Of Fool Am...
View Article#657: 瞳を見つめて
前稿で出たニューリー&ブリッカスのソングライター・コンビだが、アンソニー・ニューリーが出演して、レスリー・ブリッカスが単独で作詞・作曲を行ったミュージカル映画があった。 リチャード・フライシャーが監督した『ドリトル先生不思議な旅』(Doctor Dolittle‐1967)である。...
View Article#658: 彼女の顔に慣れてきた
連想ゲームみたいだが、前稿でレックス・ハリソンが出てきたので、『マイ・フェア・レディ』(My Fair Lady)を避けて通るわけにはいかなくなった。 彼は舞台と映画を行き来した名優で『マイ・フェア・レディ』のヒギンス教授役が大当たりし、本職の歌手ではないのにミュージカルでもV.I.Pとなった。...
View Article#659: 真夜中の太陽
これまで何度か名前が出てきたジョニー・マーサーは、作詞家、俳優、歌手、作曲家としての活動のほか、キャピトル・レコードの創立者のひとりとしても知られるなかなか多才な人物だった。 とりわけ作詞家としての仕事は、“Dream”(作曲もマーサー)、ヘンリー・マンシーニと組んだ“Moon River”、“The Days Of Wine And...
View Article#660: 星影のステラ
ヴィクター・ヤング(1900‐1956)はハリウッド映画の大家だった。『誰がために鐘は鳴る』、『シェーン』、『八十日間世界一周』など300本以上の映画音楽を書いた人で、“My Foolish Heart”や“Love Letters”などのスタンダード曲となった傑作も多い。 今でこそあまり知られていないのだが、レイ・ミランド主演の44年のパラマウント映画にルイス・アレン監督の“The...
View Article#661: ふたりの誓い
“For All We Know”という曲名を聴いて、カーペンターズを想起する人は多いだろう。 71年『ふたりの誓い』という邦題で、日本でも大ヒットした。 この曲に限らないが、70年代を通じて、カレン・カーペンターの歌声を聞かない日はなかったほどだ。ちなみに、CD以前のレコード時代(89年頃まで?)に、日本で一番売れた海外アーティストはビートルズ、2位がカーペンターズだったそうである。...
View Article#662: For All We Know
前稿で出た“For All We Know”(ふたりの誓い)には同名異曲がある。いや、カーペンターズのヒット曲の方が異曲というべきだろうか。 1934年にサム・M・ルイス(作詞)とJ・フレッド・クーツ(作曲)がラジオ番組のために書いたといわれる感傷的なバラード曲だ。...
View Article#663: もし…
「もし」(若し)を手元の国語辞典で引くと、「(副)そうなることを仮定するようす。かりに。」とあって、「~雨が降ったら行かない」という例文が出ている。さらに、「下に、“ば”、“たら”、“ても”などの言い方がくる。“もしも”も同じ。」という参考まで書かれてあった。 英語だと接続詞“If”を使った仮定法というやつだ。 ♪...
View Article#664: 10セントひと踊り
タクシー・ダンサーというのをご存じだろうか。 アメリカの映画によく登場するが、ダンスホールでチケットを買って入場し、時間制でダンスの相手をしてくれるダンサー兼ホステスのことだ。 タクシーは車のタクシーと同様、賃貸し料金制で、料金さえ払えば誰でも利用できたという。 特に1920年代~30年代にかけて、アメリカの大都市で流行した。...
View Article#665: いつかどこかで
前稿の“Ten Cents A Dance”(10セントひと踊り)のロジャース&ハートの二人はブロードウェイで一時代を画したソングライター・コンビであった。 リチャード・ロジャースはオスカー・ハマースタイン二世とのコンビでも知られるが、それ以前のロレンツ・ハートとの20年近くに及ぶ共同作業でも多数の永遠の名曲を紡ぎ出した。...
View Article#666: Whisper Not
(ろくでもない)風邪でダウンしていた。 加えて、走行距離は少ないものの廃車寸前の状態の(ろくでもない)マイカー、10年使った(ろくでもない)洗濯機の故障、ともに買い替え必至で、これからいろいろと物入りとなるトホホな年末の状況である。...
View Article#667: Hurt
60年代の初め頃、ビートルズ登場以前のことである。 ある日、ラジオからソウルフルで、エモーショナル、そして力強い歌声が流れてきた。 とどろくような大きな歌声が妙に印象的で、欧米の音楽に目覚めてまもないポップス小僧は、仲間内でこんなやりとりをした。 「黒人のアンちゃん?」 「馬鹿こくな!黒人のオバちゃんだべ?」 「違うって!図体のでかいアンちゃんだべや」 「オラ、オバちゃんだと思うけんど…」...
View Article#668: ジャネーの法則
クリスマスも何ということもなく過ぎ、今年も残すところあと数日となってしまった。 1年なんて早いものである。あっという間である。 誕生日、記念日、行事等、何らかの節目の際に「時間の経つのは早い」というのは誰でも一度は口にしたことのあるセリフではなかろうか。 実はこれ、年齢のせいもあるらしい。 「まもなくお正月、1年早いよね」などとのたまう小学生にお目にかかったことがない。...
View Article#669: 明けましておめでとうございます
年始のご挨拶をさせていただきます。 みなさま、それぞれに穏やかな新年をお迎えのことと思いますが、新年早々から大雪でご苦労されている地方もあるようです。 また、被災等により仮設住宅で新年を迎えた方もたくさんいらっしゃると思いますが、心よりお見舞い申し上げるとともに、できるだけ早く平和な日常を取り戻すことができるようお祈りいたします。 健やかで明るい1年になりますように!...
View Article#670: 漕げよマイケル
子供のころ、団体旅行、キャンプファイア、お楽しみ会などで、誰もが一度は歌ったり、聴いたりした外国の曲があるだろう。もちろん、歌詞は日本語で、元の歌とは全く関係のない内容だったりする。...
View Article#671: 恋の売り込み
トントントントンとドアをノックする音、リンリンリンリンとベルが鳴る音…。 イントロのこのうまいアイデアでまずは聴く者の耳を引き付ける。そして軽快なロックリズムに乗って、ちょっと鼻づまりの子供らしい甲高い歌声が聞こえてくる。60年代初めのティーンエイジャーはこれで虜になっちゃった。 曲は“I'm Gonna Knock On Your...
View Article#672: サヨナラ・ベイビー
後年、「音楽が死んだ日」(The Day The Music Died)と呼ばれることになる1959年2月3日、ツアー中だった3人のロック・スター、バディ・ホリー、リッチー・ヴァレンス、ザ・ビッグ・ボッパーの搭乗した飛行機が墜落、操縦していたパイロットも含めて全員が死亡した(#470参照)。...
View Article#673: All By Myself
ポップスの名曲の中には、クラシック音楽を下敷きにした作品がいくつかある。 これについては、「#277」や「#278」、「#568」などの過去記事でもふれたことがあった。 ハード・ポップのバンド、ラズベリーズの解散後、ソロ活動をスタートさせたエリック・カルメンのソロ・デビュー作“All By Myself”という曲もその一例である。...
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