#594: 好きにならずにいられない
前稿の最後でキング・エルヴィスが歌う“FOOLS RUSH IN”にふれたが、それでまた新たな連想が働いた。 エルヴィスのバラードの傑作“CAN'T HELP FALLING IN LOVE”(好きにならずにいられない)である。 クラシック至上主義者やジャズキチなどはエルヴィス・プレスリーの名前が出ただけで敬遠してしまうかもしれないが、蚤助は音楽に関しては雑食系なので全く拒否反応はない(笑)。...
View Article#595: It Had To Be You
先日、仕事帰りに所用で新宿に足を向けたが、余りの人の多さと動線の複雑さに目が回る思いをした。 人混みに酔ったのだろうが、本当に目が回って気持ちが悪くなりかかった。 首都圏に40年以上も暮しているというのに相変わらずの田舎者だと自嘲せざるを得ないが、全面改装で人気だという伊勢丹新宿本店に入ってみたらさらにビックリ。 想像以上に買物客が多く、特に地下の食品売り場に若い女性が溢れている。...
View Article#596: Exactly Like You
東京は大雪である。 もっとも生まれも育ちも雪国だった蚤助にとってはさほどのことはないが、自宅周りの雪片付けが面倒といえば面倒。 こんなことを言っていると、故郷の人々からお叱りを受けそうだ。 自分の初恋がいつどんな風だったか、覚えているだろうか。...
View Article#597: 砂に書いた…
ロックン・ロール全盛の50年代に、エルヴィス・プレスリーに対抗する存在として人気を集めたのがパット・ブーンである。 若者らしく清潔な容貌と服装、ポップで少しおっとりとしたいかにも良家の子息風の歌唱スタイルがロックン・ロールに批判的な保守的な人々にも歓迎された。 ある意味、善男善女向けの歌手ともいえるだろう。...
View Article#598: ラブレター
さて、14日はバレンタイン・デイである。 本命のチョコレートにメッセージを添えるのを忘れてはならじ。 『砂に書いたラブレター』(Love Letters In The Sand)が出たところで、今回はズバリ『ラブレター』(Love Letters)である。 ジョセフ・コットンとジェニファー・ジョーンズが主演した45年の同名映画(ウィリアム・ディターレ監督)の主題歌として作られた。...
View Article#599: 手紙でも書こう
週末、まさか2週連続で雪掻きをするはめになるとは夢にも思わなかった。 しかも、我が家の玄関アプローチに隣のアパートの屋根の雪が落ちてきて、除雪のやり直しである。 おかげで、久方ぶりの筋肉痛になりそうだ(笑)。 こんな足元が悪い日でも配達を欠かせない新聞や宅配の人のご苦労には改めて頭が下がる。 また、郵便物は届くまいと思っていたが、ダイレクメールが郵便受けに入っている。...
View Article#600: 絵短冊・その後
けやぐ柳会のさしチャンこと京子さんのご実家である内田家は、江戸時代から商店を営んでいた旧家である。 その内田家三代目の守一氏と鳥類学者であった七代目の清之助氏(京子さんの祖父)が蒐集したという絵短冊は内田コレクションとして400点ほどあり、そのうちの一部が『絵短冊十二ヶ月〜四季の花鳥風詠』(芸艸堂)という画集にまとめられて出版されたことは、以前こちらで紹介させていただいた。...
View Article#601: 「許す」川柳
「許す」という言葉について考える。 漢字の「許」は「言」+「午」である。 「言」は“口”の象形で“言う”(話す、口にする)、「午」は“取っ手のある刃物”の象形で、餅つきや脱穀などに使う道具「キネ」(杵)の形をした御神体を表わし、これが合体して「謹んで言う」の意味になるのだそうだ。 そこから神に祈ることで“ゆるす”や“ゆるされる”という意味を表わす文字として使われるようになったらしい。...
View Article#602: 地上より永遠に
戦争や軍隊の非人間性を描いた映画といえば、日本ではさしずめ山本薩夫の『真空地帯』(1952)とか小林正樹の『人間の條件』(1959‐1961)、アメリカの映画だとスタンリー・キューブリックの『突撃』(1957)や『フルメタル・ジャケット』(1987)などを思い出す。 先日、WOWOWで放映されたフレッド・ジンネマンの『地上より永遠に』(From Here To...
View Article#603: 「転」の川柳
ローリング・ストーンズが8年振りに来日している。 日本公演は6度目だそうだ。 東京ドームのGC席(ゴールデン・サークル、すなわち花道周辺の一角の特等席)のチケットは8万円だという。 60年代初めのバンド結成以来、一度も解散したことがなく、一貫して半世紀以上ロックし続けているというのは驚きの不良ジジイたちである(笑)。...
View Article#604: みんな笑った
だいぶ以前、ここで取り上げたことがある“HOW ABOUT YOU”は「ものづくし」の歌で、その中では「ガーシュウィンの歌が好き」と歌われていた。 作詞はラルフ・フリード、作曲はバートン・レーンである。 そのガーシュウィンのやはり固有名詞がたくさん入った歌をひとつ思い出したので紹介しておきたい。 “They All...
View Article#605: 卒業の日
弥生、三月…。 世は卒業のシーズンである。 今月の「けやぐ柳会」の課題(久美子・出題)のひとつも「卒業」である。 卒業とは学業を終えて学校を去ることであるが、ある状況やある段階を体験して通り過ぎていくことにも使われる言葉なので、人生のさまざまな局面で「卒業」を体験するわけだ。...
View Article#606: 明けても暮れても
恋が「悪魔」にたとえられるのは、珍しい事ではない。 周囲が見えなくなってしまって悶々と苦しむ恋心というのは、きっと悪魔の仕業に違いないというわけだろう。 ビリー・ホリデイの名唱がある“That Ole Devil Called Love”(恋とよばれる悪魔)は、恋を悪魔だと断じているし、恋心を悪魔の月にたとえた“Old Devil...
View Article#607: 邦題はいいけれど…
コルネット奏者レッド・ニコルスの半生を描いた映画『5つの銅貨』(The Five Pennies‐1959)は、ニコルスに扮したダニー・ケイの好演もあって心に長く残る作品である。ルイ・アームストロングとそのオールスターズ、ボブ・クロスビー、レイ・アンソニー、シェリー・マンなどのジャズ・ミュージシャンが多数顔を見せるのも嬉しい。...
View Article#609: この胸のときめきを
寒く大雪にも見舞われた今冬だが、確実に春が近づいているようで、我が家の沈丁花も芳香を放っている。春がくると心がときめきだす。春は若い季節なのである。...
View Article#610: 「あなたが私の頭に行く」って…?
3月が終わると今年も残すところあと9か月、クリスマスである(笑)。東京都心で桜の開花宣言があったばかり、季節外れのハナシでまことに恐縮だが、“Santa Claus Is Coming To...
View Article#611: Shiny Stockings
カウント・ベイシー楽団は、1950年代、作・編曲家のニール・ヘフティのペンによってレパートリーの充実が図られたが、もう一人、1953年から10年以上にわたりベイシー楽団に在籍したフランク・フォスター(1928‐2011)の存在も忘れてはならない。同期入団のテナー&フルート奏者フランク・ウエス(1922‐2013)とともに“TWO...
View Article#612: Waltz For Debby
前稿で器楽曲として作られた作品が有名になって歌詞がつけられた“Shiny Stockings”をテーマにした。ついでに似たような例をもうひとつ挙げておこう。以前、こちらで、取り上げたことがある“Waltz For Debby”である。...
View Article#613: Nature Boy
1947年の夏、ロサンゼルスのリンカーン劇場に出演中のナッキンコール(ナット・キング・コール)の楽屋を一人の男が訪ねてきた。親切にも楽屋に招き入れて歓談したコールは、男が楽屋に置き忘れていった手書きの楽譜を見ると、タイトルは“Nature Boy”とあった。以前、こちらで触れたことがあるが、コールの人生を変えた歌との出会いだった。...
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